STORY

今回はオリンピックも近いという事もありまして、日本ワインをご紹介させていただきました。フランスワイン会などと変わりなく多くのお客さまにご来店いただき感謝すると共にほっとしました。ありがとうございます。

日本で育った葡萄を使用した日本ワインは2000年頃からだんだん市場にでてくるようになり今では、多くの日本ワインが販売されるようになりました。それでも輸入バルクワインなどを使った国産ワインと比率を比べると、バルク国産ワイン8割、日本ワイン2割程度と少なく、海外の輸入ワインも含めると、純日本ワインは僅か6％にしか過ぎずやはり稀少な存在です。
今年度の2月から日本とEUによるEAPにおいて、EUから輸入されるワインにかかる関税が撤廃され、国内の日本ワインはアドバンテージのある輸入フランスワインなどと今まで以上に比較される事となりますが、より洗練された日本ワインが誕生する下地は充分に出来上がっています。まさに、日本ワインの夜明けがここにあります。
また、EPA発効により、関税がゼロになり日本ワインも今まで以上に海外に輸出される事が予想されます。日本酒や日本ウイスキーだけでなく日本ワインのクオリティの高さも是非世界にしらしめてほしいです。安心院のスパークリングのなめらかでシルキーな味わいはシャンパンに匹敵しますし、ブラッククイーンの濃厚なアタックと酸味がやや勝ったバランスはシラー、カベルネに負けない魅力があります。

フォクシーフレーバーを纏うマスカットベーリーＡは日本人の為につくられた日本人のワインを体現していますし、なんといっても甲州はワインとしてのポテンシャルが未知数で、生産方法もまだまだこれからいろいろ試されるワイン品種です。一部の甲州ワインはすでに世界から一定の評価がなされていますが、まだ通過点に過ぎません。そんなテーマを込めたワイン会でした。
お料理には安心院や甲州に合わせサーモンからはじまり、フォアグラのピンチョスにはマスカットベーリーＡが良い相性を見せてくれました。
そしてメインディッシュにご用意させていただきました蝦夷鹿には、ブラッククイーンのしっかりした味わいが鹿肉にマッチして、やや強めの酸味が赤い果実のソースともよく合い、マリアージュを楽しめたのではないかと思います。 デザートのイチゴのシブーストもお洒落でおいしいとの声を多くいただきました。

今回のご紹介しましたワインは山梨県中心でしたが、次回また日本ワイン会をご紹介する機会がありましたら今回ご紹介できなかった日本ワイン産地をご案内したいなとも思います。普段はフランスワインに目がいってしまいますが、日本にも良いワイン産地がまだまだあります。日本ワインの夜明けがすぐそこまでせまっています。 多くの方々のご来店心よりありがとうございました。次回は2月か3月頃のワイン会を予定しています。どうぞよいお年をお迎え下さい。

　ソムリエ　猪股