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北ブルゴーニュはコート･ド･ニュイ、ボーヌをさし、ロマネコンティ、ラターシュ、モンラッシェなど綺羅星のごとく芸術品クラスのワインを多数生産する名醸地だが、南ブルゴーニュはどうだろうか？そこには「優しくて純朴」そして飾らないワイン生産地が広がっている。

一般的には南ブルゴーニュというとボジョレのアペラシオンを思い浮かべる人も多いだろう。だがそこまでは行かない。すなわち、ジヴリでありメルキュレ、そしてマコンなのである。
かつてのワイン交易の拠点でもあったコート･ド･シャロネーズ地区は現在では西の丘陵地帯のみを残すワイン畑だが、ブルゴーニュらしいエレガントな一面を感じさせながらも、どこか懐かしく、あたたかみを感じさせるワインを丁寧につくり上げているワイン産地である。 目を閉じて試飲すると自然と涙が流れるような純朴さは今をもって貴重である。
さらに南に位置するのはマコン地区である。ボジョレとの新酒合わせの産地のイメージが強く、一時期は「安くて軽いワイン」の代名詞だったが、2000年頃から北ブルゴーニュの重鎮達がマコン･ヴィラージュに畑を持ち、まるで趣味の延長のように競い、全体の底上げが凄まじく向上している。それもヴィラージュならではの、てっとり早いビジネスの現金化という事なのだろうが、この場合それが上手く作用しているといえるだろう。

南ブルゴーニュに位置する食の都、リヨンは地方色豊かな郷土料理が日常的に楽しまれている。豚の血を使った「ブータン･ノワール」、ポーチドエッグののった「リヨン風サラダ」 牛の胃袋にパン粉を付けて焼いた「タブリエ･ド･サプール」、ナッツ類をカラメリゼした菓子「プラリネ･ルージュ」などが代表的なものだが今回はこれらの郷土料理をコースとしてご用意した。やはりどこか懐かしいフランスの田舎を感じさせこれもまた純朴な味わいなのである。
フランス料理というとエグゼクティブでハイソ、高級なイメージをもつ方も多いがこんなにも温かみと親しみやすい料理とワインがあることを知っていただきたいと言うのが今回の私のテーマだった。 多数のお客さまから楽しめた、またフランスの田舎町を旅行したことを思い出したなどの感想をいただいたなか、ほっとしたとおっしゃっていただいたお客様の言葉がとても印象的だった。優しくて純朴まさにここに極まるである。